離婚

養育費を貰うなら公正証書が大事!相手の同意を貰うためには?

離婚する際に大きく揉めてしまうことの一つに『お金の問題』があります。

特に、子どもがいる場合には、親権と養育費が大きく揉めるポイントです。

離婚をするためにはその辺りの話し合いをする必要があるわけですが、様々な理由により、養育費の取り決めを十分に行わないまま
離婚してしまい、結果として、養育費の支払いがなされないケースが多く存在しています。

厚生労働省の調査によると、継続的に養育費を受給している親権者の割合は25%程度という統計結果もあり、養育費をいかにして
確実に受け取るかが、親権者が抱える大きな課題の一つです。

今回は養育費を確実に受け取るために必要な『公正証書とは何か?』と言うことと、『私が公正証書作成に同意する代わりに出した条件』について説明します。

特に公正証書作成の同意に関しては、苦労する人も多いと思うので、私の体験談を参考にしてみてください。

公正証書とは法的拘束力をもつ契約

公正証書とはWikipediaには次のように説明されています。

公証人法等に基づき、公証人が私法上の契約や遺言などの権利義務に関する事実について作成した証書をいう。

Wikipedia

もう少し分かりやすく嚙み砕いて言うと『法律に基づいて、第三者が証人となって、作成する契約書』といった感じです。
離婚において作成する公正証書の場合には次のようなお金にまつわる契約を記します。

  • 財産分与について
  • 養育費について
  • 年金分割について
  • 慰謝料について

この他にも親権についてや、「後になってとやかく文句は言いません」という内容の清算条項なども記載されます。

さらに当人たちの同意があれば、色々な条項(約束事)を盛り込むことができますが、あくまで『法律の範囲内』での契約となります。

そのため『子どもに面会させてくれないときは、養育費は支払わない』という内容の文章を盛り込むことはできません。

子どもとの面会と養育費をセットで考える人が少なからずいますが、面会も養育費もどちらも子どもの権利であり、『養育費を払わない』という子どもの権利侵害をする内容の文章は盛り込むことが出来ないのです。

公正証書を作るとなぜ安心なのか?

本記事では養育費を確実に受け取るための手段として公正証書を紹介していますが、公正証書を作成した場合、なぜ安心なのでしょうか?

それは公正証書を作成することで、養育費の回収を、比較的簡単に強制執行できるからです。

実は公正証書を作成していなくても、養育費の取り決めをしっかりしていなくても、養育費を回収することは可能です。
しかしその場合は、裁判の判断が必要であり、多くの時間と労力を必要としてしまいます。

一方、公正証書があると、裁判所の判断を待たずに強制執行にて養育費を回収できるため、時間や労力をかける必要はありません。
また強制執行の場合、給与の差し押さえなどができるため、会社員の場合、会社側に養育費の支払いをしていないことがバレてしまいます。
そのため、この「強制執行をできる」という事実が強力な抑止力となり、養育費の未払いを防いでくれるのです。

ある一文を入れないと公正証書の価値が半減してしまう

そんな頼もしい公正証書ですが、ある一文を入れないとその効力は半減してしまいます。

その一文とは【執行認諾文言】です。

小難しい言葉ですが、その意味は「金銭の支払いが滞ったときには、強制執行してもいいよ」という相手の承諾です。

養育費を受け取る側の親権者は、確実にこの【執行認諾文言】をつけて貰う必要があります。

一方、養育費を支払う側は、その文言の意味をしっかり理解した上で、サインする必要があります。

相手に公正証書に同意して貰うためには?

執行認諾文言付の公正証書は、養育費を支払う側からすると、リスクしかない契約書です。

そのため、公正証書の作成に同意して貰えないケースが多くあります。
私も養育費を支払い続ける意思はありましたが、公正証書の作成には反対していました。

養育費を支払う側からすると、強制執行を悪用されるリスクもありますからね、自己防衛として、作成に反対するのは当然のことです。

相手に同意して貰うためにはどうすればいいのか?

という問いに対して、

「簡単に強制執行しないから安心して」
「事情を説明してくれたら多少の支払いの遅れは見逃すから」
「必要があれば養育費の減額に応じるから」

といった言葉で相手を安心させてあげましょう!という内容のアドバイスがネット上では多々見られますが、そんな言葉はハッキリ言ってなんの気休めにもなりません

私が公正証書の作成に同意する代わりに出した条件:おすすめをする訳ではない

公正証書の作成には反対していた私ですが、最終的には公正証書の作成に同意し、執行認諾文言付の公正証書を作成しました。

ただし私は公正証書の作成にあたって、一つの条件を出しています。

それは養育費の減額です。

正確には公正証書に記載する養育費の額を、実際に支払う額の半額としました。

例えば養育費が月4万円ということで、話がまとまっていた場合、

養育費は月4万円支払う。
ただし公正証書の記載は月2万円とする。

私は公正証書を作成することで、強制執行されるリスクを負う。
相手は、養育費がゼロになるリスクは避けられるが、強制執行した場合、養育費を半額しか貰えないリスクを負う。

相手に最低限の養育費を回収できる手段を保障するが、強制執行することに対して一定のリスクを負ってもらったのです。

私自身はこの条件をいい条件と思っていますが、オススメをしているわけではありません。
相手が強制執行を恐れずに不払いを続けた場合、半額しか回収できなくなりますからね。

まとめ:あくまで最低限の信頼関係が必要

公正証書は養育費を確実に回収するためには必須といっても過言ではありません。

ただし、その法的拘束力の強さから、作成に同意して貰えないケースも多々あります。

本記事では私が、公正証書作成に同意するために出した条件を紹介しましたが、この条件はあくまで最低限の信頼関係がないと成り立ちません。
相手のことをどの程度信頼できるのかを考え、どうしても折り合いがつかない場合の対策の一つとして参考にして下さい。

公正証書の作成は、養育費を支払う側にとって、非常に大きなリスクを負うということを理解することが、同意を貰ううえで大事なことだと思います。