離婚

協議離婚の注意点!養育費・面会交流の取り決めをしないと後悔する!?

日本の離婚の中でもっとも多い離婚の形は協議離婚です。

割合で言うと約9割の夫婦が協議離婚の形で夫婦関係を終了させています。

協議離婚はその他の裁判離婚に比べて、手間や費用がかからないこともあり、多くの人が協議離婚の形で離婚を成立させているのではないでしょうか?

しかし、この協議離婚の場合、手間や費用面での負担が少ない分、注意しなければいけないことがあります。

特に子どもがいる離婚の場合には後々、大きな後悔に繋がる可能性もあります。

今回は協議離婚をする場合に注意しなければならないことについて説明します。

この記事を読めばわかること
  • 協議離婚をする場合の注意点
  • 養育費の受給や面会交流を行うために必要なこと

協議離婚で注意が必要なことは離婚条件の取決め

協議離婚とは平たく言ってしまうと、当事者だけで成立させる離婚のことです。

離婚調停や離婚裁判を起こすことなく、基本的に夫婦の話し合い(協議)のみで成立させる離婚で、日本の離婚の約9割が協議離婚です。

しかし協議離婚とは言いながらも、十分な話し合い(協議)をしないまま離婚してしまうケースも少なくありません。

離婚時にはお互いの関係は冷え切り、言葉を交わすどころか、顔を見るのも嫌という夫婦も少なくないと思います。
そのような状況で離婚条件の話し合いなんてまともにできませんよね。

この離婚条件とは主に以下の5点です。

  • 財産分与
  • 慰謝料
  • 親権者
  • 養育費の取決め
  • 面会交流について

主にお金のことと子どもに関することが話し合いが必要な条件となります。

厚生労働省の統計によると以下のようなデータがあります。

  • 協議離婚:養育費の取り決めあり・・・16.4%
  • その他の離婚:養育費の取り決めあり・・・44.0%

平成28年度全国ひとり親世帯等調査結果報告

つまり協議離婚の場合、養育費を含めた離婚条件の取り決めを行わずに離婚するケースが大半ということです。

そして離婚条件の取り決めを行わなかったがために、後々、後悔することになりがちなのが、養育費についてです。

養育費の取り決めをしなかった場合、養育費受給率は10%しかない

厚生労働省の調査によると養育費の受給率は約40%程度と言われています。

しかしこの受給率とは、ひとり親家庭全体での受給率であり、養育費の取り決めの有無による受給率の違いは全くの別物の結果となっています。

上のグラフは、「養育費の取り決めがある世帯」と「養育費の取り決めがない世帯」の、養育費の受給状況を比較したグラフです。(グラフは平成28年度全国ひとり親世帯等調査結果報告を参考にkumokatsu.comが編集作成)

グラフを見ると一目瞭然ですね。

  • 養育費の取り決めがある場合:養育費の受給経験は約80%
  • 養育費の取り決めがない場合:養育費の受給経験は約10%

つまり離婚時に離婚条件(養育費の取り決め)を協議(話し合わなかった)場合、かなりの確率で養育費の受取ができないということです。

厳密に言えば、離婚時にしっかりと協議できていなくても、離婚後に養育費に関して請求することは可能です。
養育費は子どもに認められた権利であり、親権者でない親は養育費を支払う義務があります。
ただし離婚時にしっかりと取決めをしておかない場合、個人間での交渉が難しくなるため、手間や負担が大きくなり、泣き寝入りするケースも少なくありません

注意が必要なのは親権者だけではない。面会交流ができなくなるかもしれない

ここまでの説明だと、協議離婚の場合、損する可能性があるのは親権者だけに思われがちですが、実は養育費を支払う側にもリスクがあります。

それは子どもとの面会交流についてです。

平成28年度全国ひとり親世帯等調査結果報告の結果の概要には、面会交流を行わない理由の上位は以下の2つとされています。

  • 相手が面会交流を求めてこない
  • 子どもが会いたがらない

しかし実際の統計資料を見ると、少し違った理由が見えてきます。

調査の結果、面会交流を行わない大半の理由が不詳です。

不詳ということは、無回答ということです。

その他という項目があるにも関わらず無回答というのは、恐らく答えたくない理由であり、それはきっとやましい理由なんですよね。

例えば、親権者が面会交流をさせたくないというような理由です。

この結果は母子家庭の結果ですが、父子家庭に関しても45%が不詳となっています。

面会交流は子どもの権利であるため、「子どものためにならないから」という理由以外で、親権者が面会交流を断ることはできません。
そのため、養育費を支払わないことを理由に面会交流を拒否することも許されません

先の説明で養育費の取り決めを行っている人は子ありで離婚した夫婦の約6割でしたが、面会交流の取り決めをしているのは3割以下です。

養育費の受給と面会交流をするためには文章による取り決めを!

協議離婚の場合、養育費や面会交流の取り決めを行わないケースが大半です。

だからといって協議離婚が悪いわけではありません。

協議離婚をする場合においても、文章によって離婚条件の取り決めをしっかりと行っておくことが大事ということです。

口約束ではだめです。

ちゃんと文章で残しておくことが大事です。

一番の理想は公正証書という法的拘束力をもった書面にすることですが、公正証書の作成には1万円~の手数料がかかります。

また作成のためには夫婦二人で公証役場に出向く必要があるなど、負担も大きいかもしれません。

公正証書が無理でも、離婚協議書の作成だけでもしておきましょう。

  • 公正証書:公正証人が作成する公文書。
  • 離婚協議書:夫婦間で作成する覚書のようなもの。

私が離婚した時には離婚協議書を作成後、公証役場にて公正証書の形で公文書化しました。

養育費に関する取り決めは勿論のこと、面会交流の取り決めも盛り込んでいます。

面会交流に関して、元妻は「会いたければいつでも会って良い」と言っていましたが、しっかりと文章化しています。

お互いに養育費を支払う義務子どもに面会交流させる義務を明文化していることで、これまでトラブルなく離婚後の生活を送れているのかなと思っています。

まとめ

協議離婚をする場合、大事なことは養育費の取り決めや面会交流の取り決めをしっかりと文章化しておくことです。

日本では多くの夫婦が協議離婚をしていますが、十分な取決めを行っていないがため、貧困に陥るひとり親家庭も少なくありません。

ちなみに協議離婚とその他の離婚(裁判離婚)での養育費の受給率は協議離婚の方が低くなっていますが、子どもとの面会交流に関しては、協議離婚の場合の方が実施率が高くなっています。

そりゃあ、離婚話がもつれたら、面会交流を嫌がる親権者も増えますよね・・・