子どもがいる離婚の場合、離婚協議の中で大きな問題になるのが養育費の金額です。
日本の離婚の約9割が協議離婚で、諸々の離婚条件を夫婦で話し合って決めていくケースが大半ですが「養育費の金額はいくらが妥当なのか?」というのは一般人には、なかなかわかりませんよね。
通常、離婚調停や離婚裁判では養育費は、子どもの年齢や養育費を支払う側の年収、その他の状況(扶養人数や住宅ローンの有無)などを加味して決めていきます。
その際に良く用いられるのが算定表であり、協議離婚においても算定表を参考に金額を決めているケースは多くあります。
ただこの算定表を見てみると、金額に幅があり、そして子どもの年齢の区分もアバウトです。
私自身、離婚の際には算定表を参考にしましたが、子どもの年齢区分が
「0歳~14歳」と「15歳~19歳」というアバウトすぎることに頭を悩ませました。
0歳の養育費と14歳の養育費を同じ区分で判断していいのかという疑問と、14歳と15歳で数万円以上変わってきます。
そこで今回は子どもの年齢別に見た養育費額の割合について説明します。
- 子どもの養育費の平均額が変化する年齢
- 子どもの年齢別による養育費額の割合
目次
子どもの養育費が大きく変化する年齢
家庭によって事情が様々であることから、子どもの養育費額について明確な決まりがあるわけではありません。
次のような事情を加味しながら夫婦間で話し合って決めていくことが一般的です。
- 父親の年収
- 母親の年収
- 住宅ローンなどの借金の月々の返済金額
- 離婚時の子どもの年齢
- 扶養人数
養育費を考えるうえで参考にされることが多い算定表でも、夫婦の年収と子どもの年齢で区分分けされています。
その中でも子どもの年齢について注目すると、養育費額が変動するのは、離婚時の子どもの年齢が次のときです。
- 離婚時の子どもの年齢:0~2歳
- 離婚時の子どもの年齢:3~14歳
- 離婚時の子どもの年齢:15歳以上
裁判所が公開している司法統計によると、この中でも離婚時の子どもの年齢が3~14歳の場合、養育費額は一番低くなる傾向にあるようです。
各年齢区分による養育費額の比率について次に説明します。
子どもの年齢別、養育費の相場
子どもの年齢区分別の養育費額の比率をまとめたものが下のグラフです。
※裁判所HPの司法統計をもとにkumokatsu.comがグラフを作成。
このグラフを見ると次のようなことがわかります。
- 全年代で最も多い養育費額は2~4万円
- 子どもの年齢が3~14歳の場合には養育費額は2万円以下が半数以上
- 15歳以上の場合、4万円以上の比率が大幅に増加
これらの原因については次のようなことが考えられます。
全年代で最も多い養育費額は2~4万円
全年代で最も多いのは養育費額が2~4万円であるケースです。
厚生労働省の統計結果でも、養育費額の平均値はおおむね3~4万円となっており、多くの夫婦が平均値の金額帯で合意していることがわかります。
子どもの年齢が3~14歳で離婚すると養育費は低くなる
グラフを見てみると、0~2歳の場合、2~4万円がほぼ半数であるのに対し、3~14歳の場合、養育費額が2万円以下の割合が半数以上になることがわかります。
この年齢の場合、全体的に養育費の金額が低くなる傾向にありますが、これは子どもが親の手を離れて、共働き家庭が増えるためと考えられます。
先にも説明したように、養育費の金額は両親の年収によって、相場が変化します。
両親の年収差が小さくなるほど養育費の金額は低くなる傾向にあるため、共働き家庭が増える3~14歳のときに養育費の金額は低くなります。
子どもの年齢が15歳以上の場合、4万円以上の比率が大幅に増加
一方、子どもが親の手を離れる15歳以上の場合には、4万円以上の高額養育費の比率が大幅に増えます。
14歳以下の場合、4万円以上の比率は10%にも満たないのに対して、15歳以上では25%以上になっています。
これは子どもが高校や大学に進学する際に、教育費がかかるためであり、算定表による計算でも子どもの年齢が15歳以上の場合には、高額な金額となります。
例えば子どもの年齢が0歳の時に離婚した場合には15年間ぐらい教育費を貯蓄できますが、15歳で離婚した場合には、教育費を貯蓄する余裕もありませんからね。
まとめ|養育費の金額を気にすることも大事だが、まずは支払うことを重視したほうがいい
今回は子どもの年齢による養育費額の違いを説明しましたが、このデータはあくまで、養育費が支払われているケースの結果です。
実際には養育費を支払っていない(支払って貰えない)ケースも多くあり、養育費額が2~4万円というのは一般的な金額かもしれませんが、例え1万円でも支払って貰えるだけ運がいいというのが現状です。
(こんなことを言うと女性から「男は親としての自覚がない!」という反発を受けそうな気もしますが、実は父親よりも母親の方が養育費を支払わないケースが圧倒的に多いという統計結果もあります)
養育費については、金額も大事ですが、まずはしっかりと支払い続ける仕組みを夫婦で話し合っていくことが重要です。