離婚

養育費を払いたくない!支払い義務を免除されるケースとは?

子どもがいる夫婦が離婚する際に、もっとも揉める問題が養育費についてです。

中には「親権は渡すが、養育費は払わない!」という人も少なくありません。

私は養育費を払う側の人間ですが「養育費を払いたくない」という気持ちはよくわかります。

子どもがかわいくないわけではありません。
子どもに貧しい思いなんてさせたくありません。
離れてしまったら、自分ができる「子どものためのこと」は養育費を払い続けることだということもわかっています。
子どものために、頑張って養育費を払おうという気持ちもあります。

しかし

養育費の支払いによって「離婚後も元配偶者の生活を支えることになる」という事実が、苦痛なのです。

この記事を読んでいる人の中には、「養育費の支払いを避ける方法」を探している人もいるとは思いますが、

養育費の支払い義務がある人が、養育費を払わなくて済む方法はありません。

しかし場合によっては、養育費の支払い義務が免除されるケースもあります。

今回はどういった場合に、養育費の支払いが免除されるのかについて説明します。

この記事を読めばわかること
  1. なぜ養育費の支払いが必要なのか
  2. 養育費の支払いが免除されるケース
  3. 養育費を払わなかったらどうなるか

養育費は必ず払わなければならない?

日本の養育費の受給率

厚生労働省の調査によると、養育費を継続して受給しているひとり親家庭の比率は約25%と言われています。

この数字はあくまで「継続した受給」の割合で、1度でも受給したことがある人の割合というともっと多いのですが、継続して養育費の支払いをしている人は、そう多くはないというのが実情です。

そしてこの受給率の低さがシングルマザーの貧困の原因にもなっています。

離婚理由が何であれ養育費には関係ない。養育費は子どもの権利

冒頭にも述べたように、養育費の支払い義務がある人が、その支払を避ける方法はありません。

例え離婚理由が、相手の不貞行為(浮気)やDV、モラハラであったとしても、養育費の支払いとは別問題です。
例えば親権者側に離婚理由があり、慰謝料が発生したとしても「慰謝料と養育費を相殺」ということはできません。

離婚理由が何であれ、養育費は子どもの権利であるため、親同士の問題とは無関係なのです。

養育費は子どもの権利であり、親は子どもを扶養する義務があります。
そして例え離婚して戸籍から子どもが除籍しても、あなたが子どもの親であるという事実は変わりません

養育費の支払い義務が免除されるかもしれない3つのケース

しかし支払い義務があるのに、払わないで済む方法はありませんが、その支払い義務自体が免除されるケースもあります。

そのケースとは、例えば次の3つのケースです。

  • 稼ぎが少ないなど、養育費の支払い能力がない場合
  • 子どもが実は別の男性との子どもだった(托卵)場合
  • 親権者が再婚し、再婚相手が子どもと養子縁組をした場合

それぞれについて説明します。

稼ぎが少ないなど、養育費の支払い能力がない場合

一つ目は、養育費を支払う側の稼ぎが少なく、そもそも支払うだけのお金がない場合です。

養育費の額を決める際には【算定表】がよく参考にされます。

この算定表をみると分かりますが、支払者の年収が少ない場合、養育費の目安が0~1万円となっています。
つまり稼ぎが少ない場合は、養育費の額が0となることもあるのです。

まさに「ない袖は振れぬ」ということですね。

ただし、「養育費の支払いを避けるために、わざと仕事を辞めて一時的に稼ぎをなくす」というズルは認められず、稼ぎがないのに高額の養育費を支払うことになります。

他にも、両親の介護や自身の病気などのやむを得ない理由で、養育費を支払う余裕がないと判断される場合にも、支払い義務を免除されるケースもあります。

子どもが実は別の男性との子どもだった(托卵)場合

2つ目は、子どもが実は別の男性との子どもだった(托卵)場合です。

離婚後も、「子どもとあなたが親子である」という唯一のつながりはDNAです。

しかし万が一、子どもが別の男性と元配偶者の子どもだった場合、離婚後、子どもの父親はあなたではなく、その別の男性です。

そのため、養育費の支払い義務を負うのもあなたではなく、その別の男性です。

ただこの場合にはDNA検査などを行い、親子関係不存在確認を実施する必要があります。

・・・よっぽど疑わしい場合でない限り、子どもとの親子関係を疑うようなことはしたくはありませんけどね・・・

親権者が再婚し、再婚相手が子どもと養子縁組をした場合

3つ目のケースは親権者が再婚し、再婚相手が子どもと養子縁組をした場合です。

例えば母親が親権者となり、母親が別の男性と再婚した場合、あなたと再婚相手の男性の2人が、子どもの父親になります。
しかし単純に再婚しただけでは、子どもの父親としての格はあなたの方が上です。そのため、あなたに子どもを扶養する義務があります。

一方、再婚後、新しい父親が子どもと養子縁組を結んだ場合は、新しい父親の方が、格上になり、子どもの扶養義務は、あなたから新しい父親にうつります。

この場合、新しい父親に子どもを扶養するだけの稼ぎがある場合には、養育費の減額や、免除が認められる可能性が高いです。

養育費の支払いから逃げた場合にはどうなる?

  • 稼ぎが少ないなど、養育費の支払い能力がない場合
  • 子どもが実は別の男性との子どもだった(托卵)場合
  • 親権者が再婚し、再婚相手が子どもと養子縁組をした場合

これらのケースに当てはまらないのに、養育費の支払いしていない人は、現実に少なくありません。

払いたくない気持ちもわかるので、不払い者を責める資格は私にはありませんが、その代わりに、

養育費の支払いから逃げた場合にはどうなるか

について簡単に説明します。

端的に言えば、支払いから逃げた場合、親権者が裁判所に訴えれば、給与の差押えなどが強制執行され、養育費を過去にさかのぼって回収されることもあります。

ハッキリ言って、支払いが嫌でも、逃げることは得策ではありません

例え離婚して、親権を元配偶者が持っていたとしても、子どもの親という事実は変わりません。そのため、子どもを扶養する義務があり、そのために必要な養育費の受給は子どもの権利です。

強制執行で給与の差押えなどが行われる場合には、当然、会社にも連絡がいき、会社勤めの人からすると、単純に養育費を支払うよりも大きな代償を払うことになります。

現実には養育費の支払いから逃げて、結局、親権者側が泣寝入りしているケースが多くあります。
しかしそれはあくまで「運がいいだけ」です。親権者側がその気になって裁判を起こせば、ほぼ間違いなく負けてしまいます。

養育費に関しては「払わない」という選択ではなく、あくまで「払う意思」があるという誠意ある対応で、養育費の支払い条件を交渉する方が得策だと思います。

まとめ|今は嫌でも、時間が経てば養育費を支払うことが嫌ではなくなることもある

養育費の支払いに関しては必ずしも、支払い義務が生じるわけではありませんが、ほとんどの場合、支払いが必要になります。

私自身、養育費の支払いに関してはあくまで「支払う」と、誠意をもって対応していましたが、離婚当初の正直な心の内としては「間接的に元妻の生活が楽になるなんて耐えられない・・・」という思いでいっぱいでした。

ただ離婚後、年月が経った今では、離婚当初の黒い感情はなく、「養育費を払い続けてきて良かった」という思いです。

そうやって思えているのは、元妻が時々、送ってきてくれる子どもの写真のおかげかなと思います。

どんどん大きくなって成長していく姿、屈託のない笑顔、そして変わらない面影、その姿を写真で見る度に「養育費を払うことでちゃんと自分も親でいられるんだ」という考えになりました。

今は養育費の支払いは嫌かもしれませんが、時間が経てば、気持ちも変わります。

将来の自分と、子どもに胸を張って「自分が親だ」といえるように、支払いについて考えてみてください。